ルネ・ラリック：ピントレイ 牧神

1931年にデザインされた牧神モチーフのピントレイ。

女性用の小型の灰皿としてデザインされたお品です。

牧神のモチーフは香水瓶、花瓶などラリックの作品群の中でたびたび登場し、ラリックが好んだモチーフの一つでしょう。

絵画や像で見る牧神は少しおどろおどろしいものが多いイメージですが、

ラリックの描く牧神は好青年のような軽快さがあります。

肉厚のメダリオン状のガラスに裏面からプレス機で型を入れています。

この手法はラリックが特許取得した「型吹き、プレス同時成型」から応用されたものでしょう。

型抜きした牧神の装飾部分にはサチネ（フロスト加工）が施され、パチネ彩色によってセピア色が色付けされています。

ラリックがデザインしたピントレイは動物モチーフが多く、数少ない人物モチーフの内の一つです。